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修業して来た事・修行して行くこと  (2)

Restaurantレンガ屋のKです。
連日の厳しい暑さを乗り越えるためにしっかりと食べましょう。

中口がFacebookに書いている投稿をアーカイブしていこうと思います。
今日の記事は2016年10月27日に投稿したものになります。

修業して来た事・修行して行くこと  (2)

最近の傾向として(とは言っても20年ぐらい前の話だが)メニューの料理以外の特別なリクエストは殆ど無かった。
基本的に「材料が有って出来る事はすべてお受けする。」と言うのが創業者・内田の考え方だったので「出来ません」とリクエストを断った記憶はない。

と言う訳で、色々ユニークなリクエストから頭を捻るリクエストまで幅広く受け入れている。
「海老が好きなので海老尽くしのフルコースで!」…この時はビビらせようと思い、メインはオマール海老の天丼にしたが、あまりのボリュームの多さにお客様に白旗を振られてしまい、微妙に失敗だった。「メンバーので一人だけ菜食主義なので、その方だけは野菜のコースで…。」「ノングルテンの方が居ますから一つだけ特別メニューで。」等々。肉がダメ・魚がダメ・生ものはダメ・貝又は甲殻類はダメ・生野菜はダメ・数えればキリがない。

アレルギー・好き嫌い・病気による制約・宗教的制約・様ざまな理由で制限される食生活。

食べたいものを食べられる事の出来る幸せとは、なんと贅沢な事か。
ある意味ハンディーのある方々である。その方のリクエストに応えながら、同席した人達に「えー!!私もその人の料理が食べたい!」と思ってもらえるようなメニューを心掛けている。
「ハンディー」が「特権」に変わる事で、会食される方々の気持ちが和めば、と言う思いである。

ごく最近の例で挙げれば「メンバーの一人が流動食なので、その方だけ特別コースで。」…流動食?しかもコースで?…まいったなーと思いながら、沸々とファイトが湧き起こるのは因果な性分。
「ハンディーを特権に変えてやろうじゃないか!」
色とりどりの6種類の野菜のピュレを前菜として、茶碗蒸しに鱈と野菜のあっさり煮、豚肉のフリカッセ、ゆっくりと炊いたおかゆに自家製海苔の佃煮とタラコ・カスタードプリンと冷菓。ほぼフルコースを何とか完成できた。同席された方々が「私も味見させて!」とその方の料理をツツクものだから、最初は機嫌よく「どうぞ、どうぞ」と勧めていたものの、自分の食べる分が少なくなると言う心配か「おいおい…もうその辺でよせ」に為って居たかも
…と言うホールの報告は僕にとっては金の花丸だった。
技術も、知識も、経験も、レシピーも、原価も、利益もすべては修業の過程で習得できる。
自分の気持ちを込めた料理は一つ越えた何かが有ると思っている。
心(行)が料理に映るのであれば、業(わざ)だけでは出来ない。
僕の修行はこれからが本番である。

追伸
女房に「これからはいつお前が流動食になっても俺がいる限り大丈夫だぞ!」と励ましたら、何故か、どつかれた。
これも修行・修行…。